【商業簿記2級】非支配株主持分とは

コツコツ資産を増やす 商業簿記
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「非支配株主持分ってなんだ?」
「過去問を解いてるけど、どうしてこの解答になるのか分からない…」

簿記2級はクセのある資格なので、必ずどこかでつまずきます。
特に独学だと、自分で調べて納得するしか方法がないので、キツイですよね。

ともちょ
ともちょ

私も腹オチさせるまでに苦労しました。

普段は絶対に耳にしないワードですからね

この記事では、簿記2級の問2で出題される”非支配株主持分”について解説していきます。
独学で簿記2級に合格した私が腹オチするまで、吐きそうになりながら整理した内容になってます。
今まさにつまずいている、そんなあなたの助けになればうれしいです。

そもそも非支配株主持分とは

非支配株主持分というのは、ザックリまとめると次の通りです。

 
・勘定科目は「純資産」
・支配株主以外の株主が持つ株式の割合
・かつては少数株主とも呼ばれていた
・議決権を持っているものの、会社への支配力を持っていない
・株主総会での決議や役員の選任など、支配株主と非支配株主の権利保護のバランスを保つために重要な指標となります。
ともちょ
ともちょ

まだちょっと分かりにくいですね。
少し遠回りになりますが、

仮に私が株式会社を立ち上げるとして

順番に詳しく解説します


支配株主”がいるということは、”支配株主”もいるということですね。
例をあげて説明しましょう。


ともちょさんは株式会社を立ち上げるために「株式」を発行し、出資を募りました。
仮に1,000株発行したとします。

Aさん
Aさん

ともちょさんの会社の株、”100株”買うよ

Bさん
Bさん

私は”200株”買うわ

ともちょ
ともちょ

ありがとうございます。
では私は”700株”持ちますね。

経営者&過半数の株を持つ、

いわゆる「オーナー社長」です。

こうして集まった資金をもとに、ビジネスをしていきます。
ここまでの株式保有数は、以下のとおりです。

名前株式保有数
Aさん100
Bさん200
ともちょ700
ともちょが過半数(51%以上)の株を持っています

さて、ともちょさんのビジネスは上手くいき、決算では黒字を出しました。
その後の株主総会で、ともちょさんはこう言いました。

ともちょ
ともちょ

今期は業績が良かったので、1株10円の配当金を出します!

しかし他の株主からこんな意見が出ました。

Aさん
Aさん

もっと配当金が欲しい!
1株20円出してください!

Bさん
Bさん

そうよそうよ!Aさんに賛成!

多数決なら、2対1でAさん&Bさんの意見が通りそうですよね。
しかしこの場合、ともちょさんの意見が通ります。
これはともちょさんが社長だからではありません。
ともちょさんが株式の過半数を保有する株主だからです。

株主持っている株数もらえる配当金
Aさん1001,000円(10円×100株)
Bさん2002,000円(10円×200株)
ともちょ7007,000円(10円×700株)

このように過半数(51%以上)の株式を持っている株主を”支配株主”といいます。
支配株主は文字通り「株式会社において支配力を持つ株主」のことで、議決権を有し、会社の経営に大きな影響力を持っています。


反対に、Aさん&Bさんのように、支配株主より少ない株式(過半数未満)しか持たず、影響力も少ない株主のことを”非支配株主”といいます。

持っている権利非支配株主支配株主
議決権持っている持っている
影響力小さい大きい
持っている株数少ない多い
一見、デメリットばかりのように見えますが・・・

とはいえ、非支配株主も悪いことばかりではありません。
非支配株主持分の割合が高ければ、会社の意思決定に意見が反映されやすくなります。
また、配当金が出れば、株を持っているだけでその恩恵を受けられます。

そして、万一ともちょさんの会社が倒産したとしても、出資金以上の負債を背負うことはありません。
これを「有限責任」といって、株主は持っている株数に関係なく法律によって守られているのです。

ともちょ
ともちょ

反対に、ともちょは上手くいけば大きなリターンがありますが

倒産したら多額の負債を抱えたりします。

経営者としてのリスクが大きい分、リターンも大きいんですね。

例題を解いてみよう

では、実際に例題を解いてみましょう。

科目P社S社
資本金16,000,0008,000,000
資本剰余金 3,000,0001,600,000
利益剰余金12,000,0003,600,000
S社株式 8,000,000
次の仕訳をしなさい。
1.P社は×年3月31日にS社の発行済株式数の60%を8,000,000円で取得し、支配を獲得した。
2.×年の3月31日のS社の貸借対照表上、資本金8,000,000円、資本剰余金1,600,000円、利益剰余金3,600,000円が計上されていた。

3つのステップで解く

Step1 親会社(P社)+子会社(S社)の貸借対照表を作る

まず、問題の1文目「P社がS社の支配を獲得した」に注目します。
この段階では、P社とS社の資産を単純に足します。

科目P社+S社
資本金24,000,000
(16,000,000+8,000,000
資本剰余金4,600,000
(3,000,000+1,600,000
利益剰余金15,600,000
(12,000,000+3,600,000
S社株式8,000,000

Step2 「親会社(P社)の投資」と「子会社(S社)の資本」を相殺する

次に、「P社は~発行済株式数の60%を8,000,000円で取得し」に注目します。

ともちょ
ともちょ

過半数(51%以上)の株式を保有したので、

経営や役員人事について「支配を獲得した」

ということですね。

この時、親会社(P社)が持っている「S社株式」と、子会社(S社)の資本を相殺します。
仕訳するとこうなります。

(借方)(貸方)
(資本金)8,000,000(S社株式)8,000,000
(資本剰余金)1,600,000
(利益剰余金)3,600,000

しかし、これだけだと簿記のルールである「借方=貸方」になりませんね。
そこで、もう一度問題文を読んでみてください。
親会社(P社)が取得した株式数は60%ですね。

つまり40%は非支配株主持分なのです。
この40%分を「非支配株主持分」(純資産)として、貸方に計上します。
(資本金)8,000,000円×40%=3,200,000円
(資本剰余金)1,600,000円×40%=640,000円
(利益剰余金)3,600,000円×40%=1,440,000円

合計 3,200,000+640,000円+1,440,000円=5,280,000円を貸方に書きます。

Step3 差額は「のれん」で処理する

差額については「のれん」(資産)で処理して、これが例題の答えです。

(借方)(貸方)
(資本金)8,000,000(S社株式)8,000,000
(資本剰余金)1,600,000(非支配株主持分)5,280,000
(利益剰余金)3,600,000
(のれん)80,000

「のれん」については、以下の記事で解説しています。

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まとめ パターンに落とし込んで確実に得点しよう

非支配株主持分は最初こそ苦労しますが、上にあげた3つのステップで大体の問題は解けます。

実際の会社経営でも、持っている株式数次第では経営方針にも口を出せるので、会計上の重要性が高い指標です。

簿記2級では問2でよく出る分野です。
親会社(P社)が取得した金額と株式数(%)を見て、確実に得点しましょう。

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