工業簿記って初見ワードがいっぱい出てきますよね。
今回解説する「パーシャル・プラン」と「シングル・プラン」も初めての方が多いと思います。

あれ?どっちがどっちだっけ??
こんがらがった!ヤバい!
本試験でこうなると、けっこう焦りますよね。
でも大丈夫、覚え方にはコツがあるんです。
この記事ではそれぞれの違いと解き方・覚え方について解説していきます。
解き方にはコツがあり、これを覚えておけば「どっちだっけ?」ってならずに済みますよ。
本試験の工業簿記でよく出題される
この2つは本試験の第4問・第5問(工業簿記)でよく出題されます。
工業簿記は得点源なので、しっかりと解けるように理解しておきましょう。
それぞれの違い
結論からいうと、2つのプランの違いは「仕掛品」勘定の仕訳の仕方にあります。
プラン名 | 「仕掛品」勘定 | 原価差異の仕訳 |
---|---|---|
パーシャル・プラン | ”実際原価”と ”標準原価”が混在 | 「仕掛品」勘定の中で行う |
シングル・プラン | すべて”標準原価” | それぞれの要素の中で行う (材料、労務費、製造間接費) |
試験の時にごっちゃにならないように、語呂合わせで覚えましょう。
(シングル)(標準単価)(仕掛品)

家族連れやカップルは割引きが利くんですかね?
パーシャル・プラン
パーシャル(partial)は英語で「一部分の」「部分的な」という意味です。
「仕掛品」勘定の中に”標準原価”と”実際原価”の両方が出てきます。

実際原価が「部分的に」出てくるから
パーシャル・プランというんですね。
原価差異は「仕掛品」勘定の中で把握するため、標準原価と実際原価が混在します。

シングル・プラン
もう一方のシングル・プランでは、「仕掛品」勘定は全て標準原価です。


「仕掛品」は標準原価のみ
→シングル
と覚えてもいいですね。
例題を解いてみよう
例題を解いてみましょう。
①パーシャル・プラン
②シングル・プラン
それぞれの仕掛品勘定を完成させなさい。なお、当社の工場では標準原価計算制度を採用しており、月初に直接材料、仕掛品、製品の在庫は存在しなかった。
【資料】
1.製品Aの原価標準
直接材料費 標準単価600円 標準消費量2㎏ 1,200円
加工費 標準配賦率750円 標準作業時間1時間 750円
計1,950円
2.当月の生産実績
完成品180個(月末に仕掛品は存在しなかった)
3.当月の販売実績
販売品 300個(単価2,500円/個)
月末製品30個
4.当月の原価実績
直接材料費 240,000円
加工費 156,000円
まず標準原価はどちらのプランでも使うので、計算しておきましょう。
直接材料費
1,200円×180個=216,000円
加工費
750円×180個=135,000円
完成品
216,000円+135,000円=351,000円

原価標準(題意1)×生産実績(題意2)
で標準原価が計算できます。
標準原価とは簡単に言うと「大体これくらいの金額で作れるよね~」と事前にザックリ把握しておくことです。
ここでは説明を省略しますが、気になる方はコチラを参考にしてください。
パーシャル・プランの場合
まずパーシャル・プランです。
「材料」「加工費」の仕訳は実際原価で把握します。
(借方) | (貸方) |
---|---|
(実際原価)240,000 | (実際原価)240,000 |
(借方) | (貸方) |
---|---|
(実際原価)156,000 | (実際原価)156,000 |
そして「仕掛品」勘定で原価差異を仕訳します。
これがパーシャル・プランの答えです。

直接材料費と加工費は実際原価ですが、「商品」は標準原価です。
ここが間違えやすいので、気を付けてくださいね。
(借方) | (貸方) |
---|---|
(直接材料費)240,000 | (商品)351,000 |
(加工費)156,000 | (原価差異)45,000 ※不利差異 |
シングル・プランの場合
続いてシングル・プランです。
「材料」「加工費」それぞれで原価差異を仕訳します。
(借方) | (貸方) |
---|---|
(実際原価)240,000 | (標準原価)216,000 |
(原価差異)24,000 ※不利差異 |
(借方) | (貸方) |
---|---|
(実際原価)156,000 | (標準原価)135,000 |
(原価差異)21,000 ※不利差異 |
そしてシングル・プランは「仕掛品」勘定は全て標準原価になるため、これが答えです。
(借方) | (貸方) |
---|---|
(直接材料費)216,000 | (商品)351,000 |
(加工費)135,000 |
まとめ 原価差異をどこで埋めるか
パーシャル・プランとシングル・プランは標準原価計算で使う方法です。
本試験では問5で出る事が多いですが、「どっちがどっちだっけ?」と混乱しやすい所ですね。
シングル・プラン…「仕掛品」勘定はすべて”標準原価”
ゴロ合わせで覚えちゃえば、思い出しやすいですよ。
(シングル)(標準単価)(仕掛品)